
人事評価制度だけで利益が3割上がる!
高橋恭介
- ■ 出版年月日
- 2017年05月02日
- ■ ISBN
- 978-4-87771-371-3
- ■ 版型・ページ数
- 46版・224ページ
- ■ 定価
- 本体価格:1620円+税
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労働生産性、管理職の育成、採用力UP、離職率の低下――人事評価制度ですべて、解決! 「働き方改革」に対応する、ただひとつの切り札
政府は「働き方改革」で、これまで事実上、青天井になっていた長時間労働に制限を設け、残業時間の上限を繁忙期も含めて年間720時間、月平均60時間とする方向で調整に入った。忙しい時には月最大100時間、2カ月の月平均80時間までの残業は認める。労使との調整を経て、年度内にまとめる働き方改革の実行計画に具体策を盛り込みたい考えだ。
(2017年1月29日付 朝日新聞)
――なぜ今、戦後最大の「働き方改革」がなされようとしているのか?
100時間を超える残業、パワハラ、正社員と非正社員との広がる格差……働き方に関する話題がこれほど世間を騒がせ、政府も本腰を入れて改革に乗り出した今だからこそ、私たちが絶対に知っておくべきことが、本書には書かれています。
これから、企業の労務はどのような問題に直面し、どう乗り切るべきなのか?
そして従業員は、どのような働き方になっていくのか?
つまり本書はすべての働く人=これを読んでいる「あなた」に関わる本です。
■これから、大小を問わず企業では「労務5重苦」が加速する
著者、高橋恭介氏はこれまで900社もの企業を「人事評価制度」で改革させてきた人事プロ集団「あしたのチーム」を率いてきたその経験から、すでに大企業・中小企業では労務の「5重苦」が始まっている、と警鐘を鳴らします。
その5重苦とは、
・人材が不足し、超売り手市場の中で採用が思うようにできない
・最低賃金がじわじわと上がっている
・行政が労働者保護に動き、残業もさせられなくなる
・労使紛争が増え、ちょっとしたことでも訴訟される
・社会保険料が上がって、企業の負担になっていく
これだけを見ると、あくまでも上記は企業側の問題であって、従業員にはむしろ歓迎すべきことに見えます。
でも、ここまで読んだあなたには、この「5重苦」が、ひいては従業員にも大きく関係してくることをすでに理解しているかもしれません。
■5重苦を解決することは、売上げを伸ばす最善の方法でもある
この5重苦を解決する最善の方法こそが、本書でもっとも著者が伝えたいこと……会社の業績も上がらず、この労務の5重苦を抱えた企業に対する唯一無二とも言える処方箋、「人事評価制度」の根本的な見直し、です。
そして、この「人事評価制度」を変えるということが、労務5重苦を解決するだけでなく、企業の業績を上げていくことにもつながるのです。
「(人事)評価制度を変えるだけで、昨年対比で売上げが数十パーセントも伸びた会社もあります。(中略)これは、経営者の目線がまだ向いていなかった、業績向上のための最後の唯一の手段ではないか、とすら私は考えています」(本文より)
その理由とは、とても明快で理論的です。
人事評価制度があいまいな企業では、上位2割の優秀な社員が、結果を出したにも関わらず評価されないことに失望して会社を離れていく → 優秀な人材の確保が難しくなる → 会社の業績にも影響が出る……という負のスパイラルに陥ります。
著者が唱えるのは「『頑張った人がきちんと報われる』仕組みが本当に実現されてこそ、社員の頑張りに火は付く」ということ。このシンプルな理論こそが、企業の業績を劇的に変える切り札となり、経営の好循環につながるのです。
そして、この一連の好循環は、あなたの働き方にも大きな影響をもたらします。すなわち、あなたが会社でどう評価されているのか? 自分の仕事ぶりや成果、会社にどれだけ貢献しているか、自分がどれだけ成長できているのか? それが可視化されるからこそ、これまで以上に自分の働き方に「責任」がともなうことになるからです。
戦後の高度経済成長期には「モーレツ社員」として、ただやみくもに働く、質とともに「量」を重視される時代が続いてきました。しかし現在では、仕事の「質」を高める方向にシフトし、「量」をこなすだけでは評価がされにくい傾向になってきているといえます。
でも、あなたのまわりにもいませんか? どんな仕事をしているのかまったくわからないのに、とにかく遅くまで残って何かをしている人。就業時間中はしゃべったり業務に関係ないようなことをしているように見えるのに、なぜか就業時間終了後に本気を出してくる人……。
それらの人たちに残業代を支払い続けられるほど、現代の企業に体力はないのです。
人事評価制度を見直し、成果を出している人を正当に評価して給与という目に見える形で反映させる、そして成果が見えにくい人たちの問題点を浮き彫りにして改善する、これが、労務5重苦の問題を解決し、企業の業績を上げていく唯一の解決法なのです。
■政府が進める「働き方改革」が私たちにもたらすもの
遅かれ早かれ、多くの企業が人事評価制度をこの仕組みに変えていくことでしょう。それが、業績をあげる上でも効率的かついちばん現実的な方法だからです。
さて、ここまで読んで、この本がどうしてこれを読んでいる「イチ従業員」であるあなたにも関係があるか、お分かりになったかと思います。
今後、多くの会社で人事評価制度が変わっていく、ということは、あなたが現在の所属会社で「(自分は結果を出しているのに)評価されていない」と思うのであれば、それが正当に評価されることになるでしょう。そして、もしあなたが仕事の「質」よりも「量」を重視しているような働き方なのであれば、もしかしたら、その評価が変わることになるかもしれません。
自分たちの働き方がそのまま評価され、給与にも反映される……それが、政府の進める「働き方改革」が私たちにもたらす大きな変化なのです。
本書を読めば、これから訪れる変化にどうやって私たち従業員が対応すべきか、私たちが知っておくべき最善の道が分かります。
今ならまだ、働き方を変えられるのです。
目次
第1章
なぜ今、戦後最大の「働き方改革」なのか
・課題は「長時間労働」「正社員と非正社員の格差」
・非正規社員の賃金を上げなければ消費が増えない
・なぜ、日本の長時間労働は常態化したのか
・「36協定」の特別条項に条件がつけられる
・「同一労働、同一賃金」が現実のものになる
・トヨタの製造現場も能力主義を導入
第2章
企業の労務「5重苦」がすでに始まっている
・優秀な人材を退職させない正当な評価制度が必要
・最低賃金の上昇が企業を追い詰めていく
・「残業をさせること」が企業を危機へと導く
・固定残業代の明示義務と同一労働同一賃金
・訴訟リスクが高まっている
・「未払残業請求」が社会問題化する
・モンスター社員にどう対応していくのか
第3章
上位2割の優秀社員から辞めていく
・この20年、日本の人事評価制度は失敗してきた
・インセンティブ設計ひとつで、会社は揺らぐ
・電通やワタミで起きた自殺は、空気がもたらした
・プロのサッカー選手は、さまざまな角度から評価される
・究極の2択、どちらを選びますか?
・正当な人事評価制度のポイントは「マイナス査定」導入
・降給など「不利益変更」は法律で認められている
・自分がマイナス査定になることは、自分でわかっている
・会社が殺伐とする、というのは誰が言っているのか
第4章
社員がひとりでもいれば、人事評価制度が必要
・導入、運用のサポートで「おせっかい」をしていく
・人事評価制度なしで、社員は育たない
・最終成果のみならず、プロセス成果も見る
・「普通」をなくす
・コンピテンシー=行動目標を5~10つくる
・目標を自己設定、具体的に自分でつくっていく
・上司がつける評価コメントも具体的なものになる
・間接部門は評価できない、というウソ
・給与査定は「10段階」評価で行っていく
・普通の社員が成果を出せる。人材を発掘できる
・管理職が変わる。管理ではなく、育成するようになる
・今いる社員を活かして、生産性の向上を手に入れる
第5章
もう元には戻れない
・経営理念や行動規範の言葉を因数分解する
・心構え、意欲はNGワード
・売上げ300パーセントアップ。店舗数、社員数が3年で3倍に
・社員数6名の会社が売上げ7パーセントアップ
・管理職の主体性が大きく変わった
・「所有から使用へ」という時代。AIも積極的に活用
・企業横断・業界共通の評価基準のインフラが必要
・人事評価規定を、第3の届け出義務規定に
著者について
高橋恭介(たかはし・きょうすけ)
1974 年千葉県生まれ。株式会社あしたのチーム代表取締役社長。東洋大学経営学部卒業後、興銀リース株式会社へ入社。リース営業と財務に携わる。その後、設立まもないベンチャー企業、プリモ・ジャパン株式会社に入社。数十名だった従業員が500 人規模へと躍進した同社の副社長を務め、人事にも深く携わる。台湾子会社代表も歴任。2008 年株式会社あしたのチームを設立し、代表取締役社長に就任。現在、国内19拠点、台湾・シンガポールに現地法人を設立するまでに成長。900 社を超える中小・ベンチャー企業に対して人事評価制度の構築・運用実績を持つ。給与コンサルタントとして数々のセミナーの講師も務める。著書に『会社選びの新基準』(学研プラス)、『あなたの給与は3 割上がる! 』(きこ書房)などがある。