
エスキモーに氷を売る ポケット版
ジョン・スポールストラ(著) 中道暁子(訳)
- ■ 出版年月日
- 2012年04月20日
- ■ ISBN
- 978-4-87771-292-1
- ■ 版型・ページ数
- 小型B6判・並製・365ページ
- ■ 定価
- 本体1200円(+税)
書籍ご購入はこちら
オーディオブックはこちら
「ジャンプ・スタート・マーケティングは、リストラに比べればはるかに難しい。一つのメモが世界を変えるようなことはしない。しかし、ジャンプ・スタート・マーケティングの方がはるかに効果がある。それによって会社は成長し、より大きな利益をあげるようになるからだ」
どんな商品、サービスでも人を惹き付ける
ジャンプ・スタート・マーケティング17の法則
売り方を変えれば
結果が変わる
最強の「ジャンプ・スタート・マーケティング」
あなたは、こんな思いを抱いてはいませんか?
「ウチの会社の商品は競合他社のものと比べて性能が劣っているから、全然売れない」
「他社が安売り攻勢をしかけてきて、売れなくなった」
「新規の顧客が増えず、売上の増加が鈍化してきた」
「上司がイノベーションに消極的で、自分のアイディアが採用されない」
こうした問題は、ただひとつの方法ですべて解決できます。
「ジャンプ・スタート・マーケティング」です。
これは、アメリカのプロバスケットボール界で万年観客動員数最下位だったチーム「ニュージャージー・ネッツ」のチケット収入の伸び率を27球団中1位にしたスーパーマーケッター、ジョン・スポールストラ氏の考えた独自のマーケティング理論です。
このマーケティング手法は、どんな業界の、どんな職種の、どんな組織でも応用でき、そして効果を発揮する、あまりにも画期的な手法です。
弱いチームを強くすることなく、売上を伸ばす
スポールストラ氏が社長に就任したニューヨーク・ネッツは、貧弱なチームでした。
優勝争いに絡むことなどなく、最下位やブービー争いをしています。
マイケル・ジョーダンやチャールズ・バークリーといった、スター選手もいません。
こんなチームでは、誰でも観客動員数、および収益が低いのは当たり前と思うでしょう。
そして、「収入を増やすためにはネッツを強いチームにするしかない」と考えるはずです。
しかし、スポールストラ氏はそんなことをしませんでした。
彼はネッツを強いチームに変えることなく、球団の収益を驚くほど改善させることに成功したのです。
彼はネッツの試合を見に来ることの価値を見つめなおし、それを顧客に伝えました。
では、ネッツの試合が持っている価値とは何だったのでしょうか?
いくつかありますが、そのうちのひとつは「スタープレーヤーの所属しているチームの戦いが見られる」ということです。
マイケル・ジョーダンのチームは人気なので、なかなかチケットが取れません。
しかし、ネッツと戦うためにニュージャージーにやってくれば、観客はニューヨークよりも高い確率でチケットを入手できるのです。
これこそが、弱小チームという商品が持っている強みの一つでした。
この世に完璧な商品は存在しない
ニュージャージー・ネッツという球団は、他の球団と比べてあまり魅力的な「商品」とはいえませんでした。
しかしこのことは、あらゆる業界のどんな商品にも当てはまることなのです。
この世には完璧な商品など存在しません。
どんな商品でも、必ずどこかに欠点があり、必ずどこかが競合他社のものよりも劣っています。
そして、「完璧な商品作り」を目指そうとしても、ほとんどの場合、それは徒労に終わります。
そもそも、そんなものを作り出すことは不可能なのです。
だからこそ、あらゆるビジネスパーソンは自分の会社組織、そして会社が取り扱っている商品の強みと弱みを知り、それをどのように活かしながら売り込んでいくか、という方法を考えなければならないのです。
完璧な組織も存在しない
完璧なものがない、ということは、商品だけに当てはまることではありません。これは会社の組織にも当てはまります。
どんな組織でも、どこかに欠点があるものです。完璧な組織を作ろうとしても、それは不可能です。
しかし、組織をほんの少しずつ、変えていくことは可能です。
それにはちょっとしたコツがあるのですが、スポールストラ氏はそのテクニックも、本書で余すところなく伝えてくれています。
そのひとつが、「テロリスト・グループを作る」という方法です。
これについては説明を始めると長くなってしまうので、ぜひ本書でお読みください。
ジャンプ・スタート・マーケティングはあなたのビジネスを根底から変える
ジャンプ・スタート・マーケティングは、単に売上を伸ばすメソッドではありません。「劇的に」売上を伸ばすメソッドです。
そのためには発想を根底から覆し、やり方を徹底して変えなければなりません。エスキモーに氷を売るために必要なのは努力や根性ではなく、柔軟な頭なのです。
とはいえ、多くの人はすぐにこんなことを口にします。
「このメソッドはうちの業界には適さないよ」
「うちの会社の場合、この方法は逆効果だね」
「言っていることはわかるけど、実行するのは難しいな」
何度もくり返し断言しますが、ジャンプ・スタート・マーケティングはどんな業界、どんな職種、どんな企業でも適用できるマーケティングの考え方です。
ただし、これは口で言うほどたやすい方法ではありません。だから、本書を読んでも役に立たない(役に立たせられない)人がいるのも事実です。そのため、本書はすべての人におススメできるものではありません。
本気で自分の会社を変えたい
本気で自分の仕事を変えたい
そんな思いを持っている人だけ、読んでくださればいいのです。
もし本気でこうした思いを持っているのであれば、本書は必ずやあなたの期待に沿い、あなたの将来を劇的に変えてくれます。
目次
第1章
商品には、あってはまずいところに欠点があるもの
ニュージャージー・ネッツを売り込むために
自分のことがわかっているか
Jump Start Marketing① 自分が自分を見誤るな
第2章
顧客一人ひとりに、もう少し買ってくれるように直接頼む
見込み客を顧客にする
重要な名前
自社の商品に関心のある人たちの名前を集める
Jump Start Marketing② 顧客の購入頻度を高めよ
第3章
顧客が買おうと思い立つ少し前に、アプローチする
クルマを売るためのジャンプ・スタート・マーケティング
エンドユーザーの名前を入手する
ディーラーをパートナーに引き入れよ
Jump Start Marketing③ 自分の商品のエンドユーザーの名前と住所を入手せよ
第4章
少額だが、非常に目につくお金をクレージーなアイディアに使う
新しいセールスと弁護士の打ち合わせと、どちらが重要か
財務屋タイプの社長へ一言
なぜ、セールススタッフはそれを実行しないのか
クレージー・マネー
Jump Start Marketing④ 新しい顧客の獲得には、トップが率先して取り組め
第5章
ミスにボーナスを出す
クレージーなアイディア
社員は、革新的なものを避けようとする
「ちょっとした実験」が社風を変える
Jump Start Marketing⑤ 小さな実験をくり返すことで、大きな変化をつくりだせ
第6章
自社の商品が、われわれを救うことはない
社風を変える
Jump Start Marketing⑥ いますぐ、革新的なマーケティングをせよ
第7章
「テロリスト・グループ」をつくり、状況を変える
「テロリスト・グループ」の文化をつくる
Jump Start Marketing⑦ 自分のアイディアを上司に認めてもらうために万全の準備をせよ
第8章
顧客が買いたがる商品だけ売る、少しだけ多く売る
誰も欲しがらない製品を売りつけるのはセールスではない
人気商品を切らしたらどうするか
成功が成功を生み出す
Jump Start Marketing⑧ 「誠意ある販売」に努めよ
第9章
エド・ゲルスソープのルール
安い二階席の最前列に座る
定期的に店のフロアを歩く
ジャンプ・スタート・マーケティングはジャズだ
バスに乗る
Jump Start Marketing⑨ 顧客がいるところへ行き、その場の雰囲気を「感じ」とれ
第10章
一つだけセグメントへのマーケティング
一ドルに対して、何ドル得られたか
テストにテストを重ね、さらにテストせよ
友だちにどのように話しかけるか
Jump Start Marketing⑩ 自社の商品に関心をもってくれる人だけをターゲットにせよ
第11章
リサーチにだまされない
リサーチに責任を負わせる
リサーチが利用できる分野
Jump Start Marketing⑪ リサーチに決定権を与えるな
第12章
クライアントをヒーローにする
社内か、社外か
クライアントをヒーローにする方法
Jump Start Marketing⑫ 年次報告書をクライアントに提出せよ
第13章
「わが社はいつもそうやってきた」は何かが間違っている最初の警告
勤労意欲が改善すれば、人の移動もおさまる
Jump Start Marketing⑬ 社内のスーパースターがやる気をなくす要素を排除せよ
第14章
買わずにいられない商品をつくる
意図的に条件が“よすぎる”商品にする
Jump Start Marketing⑭ 意図的に“よすぎる”条件をもちかけよ
第15章
どうすれば、バックルームを顧客のための部署にできるか
バックルームのおきて
1000人のパートタイマー
Jump Start Marketing⑮ バックルームをマーケティング・ツールとして活かせ
第16章
すてる顧客を選べ
自然法則① 試合に勝てばファンは来る
自然法則② もし試合に負ければ、どんな顧客サービスをしてもファンをゲームに呼び寄せることはできない
不注意による顧客の切りすて
切りすてる顧客の選択を誤る二つの理由
Jump Start Marketing⑯ 大口の顧客と小口の顧客を区別せよ
第17章
六〇万ドルと三万二〇〇〇ドル、どちらを選ぶ?
お金を無駄に使ってセールススタッフを削減する
Jump Start Marketing⑰ 経営が厳しくなったら、セールススタッフ(変動費)を増やせ
著者について
ジョン・スポールストラ (Jon Spoelstra)
1968年ノートルダム大学(コミュニケーション専攻)卒業、78年NBA(全米バスケットボール協会)のポートランド・トレイルブレイザーズ副社長、89年デンバー・ナゲッツの社長兼CEO。91年、NBAで顧客動員数最下位だったニュージャージー・ネッツの社長兼CEOとなり、独自のマーケティング理論を適用して、NBAの27球団中、一位のチケット収入伸び率を達成した。ネッツ引退後はSROパートナーズを設立し、会長に就任。現在、マンダレー・スポーツ・エンターテイメントのプロ・スポーツ部門担当社長。(本書刊行当時のプロフィールです)
中道暁子(訳)
東京大学文学部英文科(英語英米文学専修課程)卒業後、出版社に勤務し、約6年間英和辞典の編集に関わった。現在は、フリーランスで英語関係の辞書の編集や翻訳に携わっている